純愛バトラー
 ご明察。

 でもな? 別に可愛い女が嫌いなわけじゃないんだぞ?
 何事もバランスってやつは大事じゃね?

 昨日から千沙子には散々言われっぱなしだ。
 情けないだの、さっさと玉砕しろだの、いくらなんでもあんまりじゃないか?
 一言。せめて一言、何か言ってやりたい。

 オレは芝居がかった動作で千沙子に向き直り、どこぞのアニメの台詞回しのように、高らかに宣言した。

「それは確かにその通り。
 だがあえて言おう。
 可愛げの全くない女は、可愛いだけの女以上に興味がない。むしろカスであると!」

「!!」

 千沙子の勝ち誇った表情が凍りつき、よほどショックだったのか、二、三歩後ろによろめいた。

 勝った。


 言い過ぎた事を反省するより先にそう思ったオレを、鬼と呼びたい奴は呼べばいい。
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