純愛バトラー
 何となくそわそわした雰囲気の中、今回の旅行プランを作成した長船が口を開く。

「ええと、最初の目的地は首里城ですね。
 修学旅行の定番見学スポットです。見ておいて損はないと思うので、今回のプランに組み込んでみました」

「ダメね」

「はい?」

「せっかく邪魔者を置いてきたんですもの。そんな型どおりの場所なんて修学旅行の時にでも行けばいいじゃない。第一、行楽シーズンの人ごみの中じゃゆっくり見られやしないし、こんな暑い中わざわざ外を歩く事もないでしょ」

「はあ」

 珍しい。長船が唖然としている。

「もう、最初の時点で気付いておくべきだったのよね。監視がいない時点で最初のプランに沿って行動する必要はないんだって」

「ち、ちさこせんぱ~い?」

 小雪が心配そうに千沙子を見やるが、千沙子はそれを鼻先で受け流し、運転手に命じた。
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