純愛バトラー
「時々、思うんです。何のために俺はこの場にいるんだろうなって」

 波が、また一つ砂浜に打ち寄せる。

「絵理をかっさらっておいて、それか。
 んなふざけた事抜かすなら、地元の彼女のところへでも、さっさと帰りやがれ」

 青司の言葉に、オレは少なからず苛立ちを覚えていた。
 絵理の事に関してだけではなく、心理的な壁を作っている、青司自身に対しても。

「ホテルでも言ってましたけど」

 むっとした青司の声が、オレの耳に届いた。

「二股とか、彼女って何の事です?
 絵理さん以外に彼女なんかいたことすらありませんが」
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