純愛バトラー
「でもな、別に絵理の前で嘘を重ねてのろける必要なんかなかったんじゃね?」

 オレがそう質すと、青司は大きく溜息をつき、うんざりと言い返した。

「のろけてなんかいませんよ。
 ゴールデンウィークの予定について雑談していた時に、『大切な人に会いに行くのだな』って言われたから、肯定しただけです。
 そんな風に脳内変換されていたなんて、思ってもみなかった」

 それから二、三度頭(かぶり)を振って肩を落とし、ぽそりと呟いた。

「絵理さん、俺の事、軽くていい加減な奴だと思っただろうな」

 青司は端正な顔に眉根を寄せて、唇を噛んだ。
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