純愛バトラー
 その表情に釣られて、オレは、つい余計な事まで言ってしまった。

「絵理の脳味噌はどこでどう繋がってんのか計り知れないところはあるが、いい加減な気持ちであんな返答しねーよ。
 ついでに、少しでも納得してなきゃ容赦なく追求してくるからな。思い詰める必要もないんじゃね?」

 言った直後に後悔した。

 恋敵励ましてどうするんだよ……。


 青司は驚いたようにオレを見ると、ふっと表情を崩して笑った。

「知ってます」

「うわテメエむかつく」

「絵理さんは俺に渡さない、でしたっけ?
 いいですよ。受けて立ちます」

 そう言った青司の声からは、独り空を見上げていた時の空虚なトーンは消え失せていた。
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