純愛バトラー
「あー! いたいたー!
 密会現場はっけーん☆」

 元気のいい声が響いて、小雪がスパーク花火を両手に持ったまま、こちらに駆けて来た。
 その後ろに、千沙子、絵理、長船が続く。

「こんなムード満点の場所で、男同士で逢瀬なんて。見る人が見たら誤解された挙句、妄想のネタにされるわよ」

 千沙子がなにやら物騒な茶化し方をした。
 オレはいたってノーマルだ。気色悪いから冗談でもやめてくれ。

 絵理がオレ達の前まで進み出た。
 走ってきたせいか、頬が紅潮している。

「馬鹿者っ! 二人とも、いつの間にやら失せていたから、心配したではないか!」

 心配と安堵が入り混じった表情と声でそう言って、オレと青司の浴衣をきゅっと掴んだ。
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