純愛バトラー
 そしてさらに浴衣の袖から花火を取り出し、周囲に配り始めた。

「ほらほら、まだまだ花火はあるよ☆」

「消火用のバケツも持ってきましたので、遠慮なくどうぞ」

 小雪と長船に促され、オレ達は花火を再開した。
 夜の海岸に笑い声が響く。

 そんな時。

「ねー! 見て見て!」

 水平線の向こうで花火が上がった。

「どうやら本島でも花火大会のようですね」

「ふふ、少し遠いのが難点だけど、遮る物が何もないからよく見えるわ」

 夜空に色とりどりの花が咲き、少し遅れて開花の音が響いてくる。

 ふと、何かがオレの手に触れた。
 隣で遠花火に見入っている絵理の手だった。
 絵理はそのことに気付いていないようで、相変わらず花火に視線を向けたままだ。
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