純愛バトラー
 幸い、医療費は保険で賄えたから、多額の借金を抱える事だけは避けられた。

 最初のうちは毎日のように病院へ通った。

 母に呼びかけ、学校でのたわいも無い出来事を話し、看病をした。


 だけど。


 徐々にオレの心は折れていった。

 どんなに話しかけても、呼びかけても、母が答える事は無く、ただ眠り続けているだけで。

 成績維持のために勉強もしなければならず、何より生活していくために金銭を得る必要があった。

 学校を辞めて働こうか。

 そんな事を考え始めた頃に、千沙子から自分の執事にならないかと持ち掛けられた。
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