純愛バトラー
祖父母の顔すら見た事がないオレにとって「家族」と呼べる存在は、この病室で一人眠る母だけだった。
それなのに。
つい最近まで、自分の母親から目を逸らそうとするばかりでいた。
そんなオレを変えたのは、あいつが何気なく言った一言。
『大事なものに想いを馳せるのは、大切な事だと私は思う。たとえそれが、痛みを伴うものであったとしても、な』
あの日からだ。
再び、オレがここへ足を運ぶようになったのは。
それなのに。
つい最近まで、自分の母親から目を逸らそうとするばかりでいた。
そんなオレを変えたのは、あいつが何気なく言った一言。
『大事なものに想いを馳せるのは、大切な事だと私は思う。たとえそれが、痛みを伴うものであったとしても、な』
あの日からだ。
再び、オレがここへ足を運ぶようになったのは。