純愛バトラー
 亜麻色の緩く波打つ長い髪、透き通るような白磁の肌。その身に纏うは薄紅色のドレス。
 月明かりに照らされた横顔は繊細な彫刻のようで、現実味というものを感じさせない。

 魅入られたように月を見上げていた少女は、緩やかにステップを踏み始めた。


 ふわり、ふわり。
 くるり、くるり。


 少女がステップを踏むたびに、薄紅色のドレスがひらめき、裾が舞う。

 少女がターンをするたびに、亜麻色の髪が風になびいて広がった。

 流れ落ちる流水の音が、緩やかなダンスの曲となり、天空にかかる月が、この幻想的な舞台の照明となった。

 現実から切り離されたような光景に、オレは心を奪われて。

 瞬きする事も忘れたまま、夜の舞姫に囚われていた。
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