純愛バトラー
 少女の病室は比較的奥の、準個室と呼ばれる場所だった。

 同室の患者は既に就寝しており、音を立てないよう、静かに少女をベッドに横たえた。

「ありがとう」

 少女が初めて口を開いた。

 同行していたナースは、少女の意識が戻ったのを確認すると病室を出て行った。
 医師に報告か、診察の準備か、おそらく両方だろう。

「まぁその……。無事でよかった」

 疑問に思う事は色々あったが、まずは大事に至らなくて良かったと思う。

 少女が何故入院しているのか全く解らないが、入院していて、しかも少人数の部屋に入っているとなると、軽い病気や怪我ではない事だけは想像できる。
< 228 / 401 >

この作品をシェア

pagetop