純愛バトラー
 絵理も整った顔立ちの和風美人だが、オレと兄妹だと言い張るには顔立ちが違いすぎた。第一、この年になって兄妹で手を繋ぐような事はないだろう。

 んー。これって傍から見るとやっぱり恋人同士に見えるのかな。

 待て待て。そんなアホな事考えてる場合じゃないだろう。第一、絵理を落とすのだって、快適な使用人ライフのためだ。主導権取った方が何かと楽だからな。

 そのまま、絵理の手を引いて暫く歩いていたが、重大な事に気がついた。

「そういえば、何買いに来たんだっけ?」

 アホ過ぎる。目的を聞いていなかった。
 まぁ、どうせ服とかアクセサリーとか、そんなところだろうけど。

 嬉しそうに絵理が答える。

「明後日は高校の入学式だからな。心機一転、筆記用具を新調しようと思うのだ」

 ……筆記用具……。

 よほど呆れた顔をしていたらしい。絵理が不満そうな顔で抗議をした。
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