純愛バトラー
「なあ紅葉」

「うん?」

 顔を上げた紅葉と、オレの目が合った。

「生きているっていう事実だけで、人を救える事がある。
 もしもこの先、病気が悪化して、眠ったまま目を覚ます事ができなくなったとしても、紅葉が生きている限り、紅葉のことを大切に思っている誰かの心は救われてるんだ。
 忘れるな。その事だけは」


 そう。
 生きていてくれるだけで、救われる。
 事実、オレが、そうだから。
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