純愛バトラー
 紅葉は呆けたような表情でオレを見た。

 紺瑠璃の瞳の中で感情がめまぐるしく動いた後で、ふ、とオレの顔に焦点が合う。


「ね、あなた、名前は? まだ、聞いてない」

「陣。草薙陣。そういえば、まだ名乗ってなかったな」

「陣って呼んでいい?」

「ああ」

 紅葉は嬉しそうににっこりと笑った。

 花が咲いたような笑みだった。
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