純愛バトラー
「寝具がないが」

「え?」

「寝具がないと言っている。来客用の部屋はあるが、あくまでも応接用であり、寝泊りをすることは想定していないのだ」

 直に畳で寝ろってか。

 だが、野宿じゃないだけだいぶマシというものだ。無断で門限破ったのはオレの責任だし。

「ま、雨風凌げるだけましさ。夏だから寝冷えの心配もなさそうだしな」

「うむ。多少狭くて申し訳ないが、二人分寝るスペースくらいは確保できよう。不便を強いるが我慢してくれ」

 絵理の返答に違和感を感じる。
 会話が食い違っている気がするのは気のせいだろうか。
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