純愛バトラー
「ええと。それって、つまり……?」

「私の横で休めばいいと言っている。だが布団を明渡すのは却下だ」

 ぴぎゃー。

 かろうじて喉元で押しとどめたが、あまりに衝撃的な出来事が起こると、意味不明な奇声が自然に出るもんなんだね。

 ギャフンなんて普通言わねえだろと思っていた、昔のオレは浅はかでした。

 奇声だけに留まらず、オレの脳内では、非常に小憎らしい表情のペンギンどもが、嘲るようにラインダンスを踊り始めた。

 まともな思考ができない、というのはこういう状態のことを言うのだろうか。

 機能停止したオレを不思議そうな顔で眺めると、絵理は自分の枕を横にずらした。

 絵理が寝ている布団は元々かなり大きいサイズなので、二人寝られるスペースは余裕であるのだが、この状況は非常にまずい。
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