純愛バトラー
「なあ、姉ちゃん。暇してるんだろ? 俺に付き合えよ。お小遣い弾むからさ」

 下品な笑いを浮かべた柄の悪い男が、美女の腕を掴む。

「触らないでくれます? ゴミの分際で」

 美女は侮蔑の眼差しを男に向け、氷点下の冷たい声で不機嫌そうに吐き捨てた。

 気が強いのは結構だが、その態度は身を危険に晒す事になる。

「このアマ、下手に出てりゃ付け上がりやがって!」

 案の定、怒り狂った男が、美女に手を上げようとした。

 まずいな。

「おい、やめ――――― 」

「そこまでにせよ」

 朗々とした、絵理の声が響き渡った。

 男が絵理の方を振り返る。

「あぁ!? 何だテメェは。関係ねーだろうが。すっこんでろ!」

 威嚇するように睨み付けるが、絵理は何処吹く風で、つかつかと男に歩み寄った。
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