純愛バトラー
「気にするな。それより、陣にそなたのような可愛らしい友人がいたとは。なるほど、足繁く見舞いに通うのも解ろうというものだ」

 絵理に褒められて、紅葉は嬉しそうに照れ笑いをした。

「そういえば、主人ってどういうこと? 彼女じゃないのはわかったけど」

「ああ、陣は私の屋敷で執事をしているのだ。言い換えれば私は彼の雇い主ということだな」

「え、ほんと? 執事って、あの執事? 喫茶店で、とかじゃなくて、ほんとに執事なの?」

「正式採用じゃなくて、まだ見習いのバイトだけどな」

 住み込みでやっているとはいえ、学歴もまだ中卒の上、学校に通いながらの勤務なので今のところバイト扱いだった。

 それでも、他のバイトと比べたらかなり多い金額を貰っている。

 それこそ、数ヶ月勤めれば中型バイクを買える余裕ができるくらいの。
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