純愛バトラー
「どうなのかなあ。うん、お兄ちゃんは確かに妹のわたしが見てもかっこいい部類に入るし、なんでもそつなくこなせるとは思うけど……」

 ここで紅葉は一旦言葉を区切って、トーンを落として続けた。

「でも、ここだけの話、口うるさいし、すぐ怒るし、気に入らないことがあるとイヤミばっかりいうし、そのくせめんどくさがり屋だし、接客業に向いているとは思えないんだけどねえ。
 最近彼女できたらしいけど、どんな物好きか一度見て……やば」

 絵理の後ろにふと焦点をずらした紅葉は、小さくつぶやいて口をつぐんだ。

 その様子を見て、オレと絵理も思わず後ろを振り向く。

「絵理さんに会長? なぜこんな所に」

 振り向いた先に、オレ達が非常によく知っている人物がいた。

「お兄ちゃん、来てくれたんだね。ありがと」

 紅葉が青司に取り繕うように笑った。
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