純愛バトラー
 青司が引き下がったのを確認すると、紅葉は恐る恐るオレの背中から出てきた。

「と、ところでお兄ちゃん。バイトで指名されたときって、一体何するの?」

 強引に話題転換しようとする紅葉だったが、実はオレも少し気になっていた。

 青司はそんな紅葉を呆れたように見やり、説明をした。

「別に、客の前で紅茶を淹れたり、給仕をしたりして、接客するだけだよ。ちなみに指名料は一回五百円」

「地味に高いな……。別に指名しなかったからって、セルフサービスになるわけじゃないんだろ?」

「なりませんよ。テーブルにつく店員が選べるってだけです。まぁでも、好きでもなんでもない相手におべっか使うんだから、金でも貰わないとやってられませんがね」

 うん。紅葉の言うとおり、接客業に向いていないのは確かだな。
 営業スマイルは接客の基本だぞ。
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