純愛バトラー
「まったく、度し難い男であったな。怪我はないか?」

 絵理が長身の美女に笑いかけた。

 近くで見ると、本当に美人だな。

 日本人離れしたくっきりと整った顔立ちに、烏(からす)の濡れ羽のような、艶のある漆黒のショートヘア。化粧もしておらず、ジーンズにシャツという飾り気なのない服装だが、逆にそれが中性的な雰囲気によく似合っていた。

 かなりの長身だが、スレンダーな体型と相まってトップモデルのように見える。年はオレや絵理と同年代くらいだろうか。

「ありがとう。正直助けが入るなんて思わなかったから、嬉しかった」

 セクシーなハスキーボイスで、照れたように笑う。

「でも、自分ひとりで何とかできる自信はあったけどね。これでも結構喧嘩慣れしてるし」

「よいではないか。自分に有利な状況は利用するものだ」

 そう言って、絵理はにやりとしてみせる。
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