純愛バトラー
 紅葉に言われて、オレは一瞬躊躇(ためら)った。

 しかし。

「じゃあ、一緒に来るか?」

 オレの言葉に紅葉は嬉しそうに頷き、青司の手を引っ張ってオレの後をついてきた。

「いや、俺は……」

 そう言い淀む青司の言葉を遮るように、紅葉は言った。

「だめ! お兄ちゃんも来るの! 礼儀は守れっていつも口うるさくいってるじゃない。ちゃんと『ふつつかな妹ですがよろしくお願いします』っていってよね!」

 青司はそんな紅葉を再び呆れた顔で見やったが、諦めたのか、大人しく手を引かれるままついてきた。
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