純愛バトラー
 負けず嫌いで努力家の千沙子は、あれから毎晩、屋敷で高笑いをしながら鞭を振っていたらしい。

 その事を、偶然街で会った元同僚に聞いた。

「お嬢様が変な趣味に目覚めたようで心配だ」

 苦悩の表情でそうぼやいていたのが印象的だった。

「人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られておしおきよ!
 受けてみなさい! ラブ・ストリーム!」

 ヒロインの決め台詞が出た時点で、オレは完全にそれ以上見る気力が無くなり、大講堂を後にした。
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