純愛バトラー

祭・喫茶店

 小雪に見送られて2‐Aの教室を出る頃には、既に正午を回っていた。

 この時間なら、絵理もいるだろう。

 一年生の教室は四階にある。
 期待に胸を膨らませ、階段を上った。

「おお、陣ではないか。学園祭は楽しんでおるか?」

 いきなり踊り場で、階段を下りてきた絵理にばったり出会い、愕然とした。

 メイド服ではなく、いつもの制服を着ている。

 まさか、シフトが変更になってもう終わったなんて事はないだろうな。これが一番の楽しみだったのに。

「まあそれなりに。
 ところで、絵理。こんな所でぶらぶらしてていいのか? 昼からメイド喫茶のシフトだろ」

 できる限り平静を装って言うと、絵理は腕組みをして、落胆したように溜息をついた。
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