純愛バトラー
「……この時間のシフトの男子がおらぬのだ。仕方がないので、私が探しに行く事になった」

「探しにって……。当てはあるのか?」

「ない。放送で呼び出してあるが、一向に来る気配がない。だから直接探しに行く事になった」

「じゃあ、絵理は店に出ないのか?」

「現場に行かない、という意味なら今のところ不明だな。早く見つかれば戻るし、見つからなければ戻るに戻れぬ。幸い女子の人数は足りているので、私一人いなくてもどうにかなりそうだが」

 この状況は困る。非常に困る。

 このチャンスを逃したら、メイド姿の絵理に給仕してもらう事なんて、一生なさそうだ。

 自分でも馬鹿馬鹿しいとは思うが、こうなってくると、どうしても絵理のメイド服姿というものが見たくなってしまった。

 だから、ついこんな事を言ってしまったのだ。

「男手が必要なら、手伝おうか?」
< 308 / 401 >

この作品をシェア

pagetop