純愛バトラー
 見覚えがあると思ったら、演劇部で主役の姫を演じていた生徒だった。

「セイラちゃん、お客さんの様子はどう!?」

 役名と同じく、セイラと呼ばれた女生徒は、端正な顔に眉根を寄せて頭(かぶり)を振った。

「一旦は引いたけど、俺一人じゃ厳しいな。
 ねえ委員長。逃げた奴、まだ見つからないの?」

 この声。この口調。

「御剣さんが、強力な助っ人を連れてきてくれたの! これで百人力よ!」

 化粧をしていたので、完全にだまされた。

「会長? 何故こんなところに」

 セイラことセイジは、呆れた顔でオレを見た。
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