純愛バトラー
 周りのテーブルにいた客達がざわめき始めた。

 さっきの声に驚いて、むせた客もいるようだ。

 他のテーブルの客達は、紅茶を口に運んでは首をかしげている。

 何故あんなに騒いでいるのか理解できない、といった様子だった。

 ククク……。これこそがオレの武器。

 茶葉さえ見れば、その茶の最適な淹れ方を一目で見切ることができる。

 お湯だって、湯気を見れば温度が把握できるから、最適温度になった瞬間に火からおろす事ができるのだ。

 ちなみに、沸かしすぎたお湯は紅茶を淹れるのに適さないので、注意されたし。

 絶妙のタイミングで淹れた、オレの紅茶に酔いしれるがいい。

 こんな芸当はセイラにはできまい。
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