純愛バトラー
 チャラ男の皮を被った美食倶楽部三人組は、オレが淹れた紅茶をなおも褒め称えている。

 客を送り出したセイラが、オレとすれ違いざまに、ギリ、と歯噛みしながら鋭い視線を向けてきた。

 オレはそんなセイラの視線を余裕の笑みで受け流す。

 三人組を笑顔で送り出し、セイラに勝ち誇った笑みを向けてやった。

「ホホホ。いくら美人でも、ちゃんとしたお茶の淹れ方も知らないようでは、メイド失格ですわよ」

「ウフフ。残念ですけど、湯気を見ただけでお湯の温度がわかる変態じゃありませんの。
 ご心配いただかなくても、お茶の淹れ方くらいはマスターしておりますわ」

「オホホホホ♪」

「ウフフフフ♪」

 メイドのジニーにすっかりなりきってしまったオレは、セイラに対する嫌味さえ女口調になっていたが、この際気にしなかった。

 セイラもそれは同様のようで、傍から見ると背の高いメイドが二人、ナゴヤカにいがみ合ってるように見えるだろう。
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