純愛バトラー
 まずは、第一段階クリアだ。
 顔で釣れないなら、メニューで釣る。
 後はどの程度食いついてくるか、だ。

 こうして、『冥土喫茶☆ファーストキッス』の闇鍋メニュー、「ジニーの気まぐれティー」が生まれた。

 命名は委員長である。
 直球過ぎるネーミングセンスだが、解りやすいのでよしとしよう。

「姑息な手段に出ましたわね。まあでも、それ位してもらわないと楽できそうにありませんもの。せいぜい頑張ってくださいな」

「ええ。そのうちに、暇で暇で仕方なくなるくらい楽にして差し上げますわ。たかがコスプレ喫茶の店員風情が、プロの使用人に勝てるなんて、思わないことですわね」

「ウフフフフフフフッ♪」

「オホホホホホホッ♪」

 和やかにいがみ合う二人のメイド。

 互いの心は一つ。

『こいつにだけは絶対負けねえ』

 オレとセイラの視線が火花を散らした。
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