純愛バトラー
「ま、多分風邪だろうし、栄養たっぷり取って暖かくして寝れば心配ないさ。
働き詰めだったみたいだから、丁度いいだろ」

「だといいのだが。このまま、病院に連れて行ったほうが良いのではないか? 運転手の差脇は融通のきかん男ではないぞ?」

 絵理の提案に、オレは首を横に振った。

「こんなずぶ濡れのまま待合室で待たされたら、余計悪化するだろうが。
部屋に運んで着替えさせるのが先だ」

「そうか……。それもそうだな」

 普段の絵理なら、オレに言われなくてもそんなことは解るはずだ。
 落ち着いているように見えるが、絵理はかなり動揺している。
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