純愛バトラー
「起きたか」

 オレが声をかけると、青司はひどく驚いた様子だった。

 そりゃそうだろう。いつの間にか部屋で寝ていて、そこにいるはずのない人間がいるんだから。

「会長がなぜここに」

「ぶっ倒れたのをここまで運んでやったんだ。感謝しろよ」

 料理を続けながら、オレはぶっきらぼうに言った。

「って、そうだ、バイトに行かないと」

 青司はベッドから立ち上がろうとしてふらつき、その場にへたり込んだ。

 感謝しろと言われて、すぐに礼の言葉が出てくるほど素直でも器用でもない事は解っていたので、あからさまに違うことを言い出しても別段腹は立たなかった。
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