純愛バトラー
 青司の言い方には皮肉がこもっていたが、オレは別に気にしなかった。

「そうでもない。その方がマシってだけだ。
 ま、極論言えばオレやお前が先に死ぬ可能性だってゼロじゃない。結局、人の命なんてなるようにしかならないんだから、都合のいい方を信じた方が精神衛生上いいだろ」

「その考え方も、絵理さんの影響ですか」

「まあな」

「羨ましい限りです。四六時中一緒にいられて」

「じゃあ、執事と彼氏代わってくれ」

「お断りです」

 激しかった雨はだんだんと緩やかになっていった。

 オレが作った梅粥をきれいに食べきった青司が、小さい声でご馳走様でした、と言ったのが聞こえた。
< 348 / 401 >

この作品をシェア

pagetop