純愛バトラー
「余計な世話かもしれんが、お前、最近殆ど物食ってなかっただろ。冷蔵庫とゴミ箱、ほぼカラだったぞ」

 この地区のゴミの日は明日の朝。
 食事をしてれば多少なりともゴミは出ているはずだ。

「というか、なに人の家の冷蔵庫、勝手に物色してるんですか。家主に無断で好き勝手やりすぎです」

 青司の言う事はもっともだが、オレは反省する気はさらさらなかった。

「やかましい。ぶっ倒れたお前が悪い。
 食い終わった食器貸せ。片付けてくるから」

「結構です。後で自分でやりますから。これ以上、あなたに借りを作るのはごめんです」

「こっちとしては、別に貸しを作るためにやってる訳じゃねえよ。絵理の頼みだから、ちゃんとお前の世話しないと、職務怠慢になっちまう」

「へー。そうですか。点数稼ぎも大変ですね」

「ああ大変さ。だからさっさとリタイアしてくれ」

「嫌です」

「だろうな」

 オレは青司から茶碗の乗った盆を取り上げると、キッチンへ持って行って洗った。
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