純愛バトラー
 顔色もよくなってきたし、もう大丈夫だろう。

「んじゃ、オレ帰るわ」

「そうですか。もう来ないで下さいね」

「そりゃお前次第だな。食事くらいはちゃんと摂れ。じゃないとまたぶっ倒れるぞ」

「会長」

「ん」

「ありがとうございました」

「おう」

「……と、絵理さんに伝えてください」

 素直なんだか素直じゃないんだかよく解らない態度に、オレは内心苦笑した。

 絵理に礼を言うなら、わざわざオレに伝言を頼まなくても、パソコンのチャットなり携帯のメールなりで直接伝えられるだろうに。

 絵理に連絡を入れて男子寮を出ると、雨は小降りになっていた。
 だが、完全に止んでいた訳ではなかった。
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