純愛バトラー
「そうだ。陣にもちゃんとプレゼントを用意してあるぞ。受け取るがいい」

 絵理はそう言って、四角い包みを手渡してきた。そこそこの大きさがあるので、本ではないようだった。

 一体何を選んできたのだろう。
 絵理の選んだプレゼントは、楽しみな反面おそろしい。

「行きつけの雑貨屋で良い茶器を見つけてな。ぜひそなたに使って欲しい」

 何故だろう。あまりに普通過ぎて悔しい……。

 もっと想像を絶する物をどこかで期待していたというのか、オレは。

 とはいえ、オレの好きな品物をプレゼントとして選んでくれたのは素直に嬉しかった。

「ありがとう。大事に使うよ」

 オレが礼を言うと、絵理は満足そうに頷いた。

 そろそろパーティーの終了時刻だ。

 この後、このままオレ達は紅葉のところへ向かう予定だ。

 聞けば青司もこの後紅葉のところに行くらしいので、三人で向かう事になった。

 会場から病院はさほど離れておらず、徒歩で移動可能な距離だ。
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