純愛バトラー
 紅葉の病室に入ると、医師とナースが紅葉を慌しく集中治療室へと運ぶところだった。

 青司がいる事に気付いたナースの一人が、状態を手短に説明し、紅葉を集中治療室へと運んだ。

 説明を受けた青司の顔がみるみる蒼くなっていく。相当危険な状態のようだ。

 オレ達は控え室へ通され、じっと待つ事しかできなかった。

 その間、誰も一言も発する事が出来ず、ただただ胸の中の不安を打ち消すように祈るだけだった。

 青司が絵理の手をとり、強く握った。

 不安なのだろう。

 絵理はそんな青司の手に、もう片方の手を重ねた。

 青司がはっとした表情で絵理を見る。

 そこで初めて、自分が絵理の手を握っている事に気付いたようだった。
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