純愛バトラー
 青司の慟哭は、オレに激しい動揺をもたらしたが、同時に胸に鉛を押し込められた気分だった。

 青司が絵理の側から去ったとしたら。

 立てるのか? あいつの隣に。

 ずっと望んでいたこと、ずっと欲しかった存在(もの)が手に入る?

 ……本当に?

 青司に同情はしない。

 気の毒だとは思うが、オレだって生半可な気持ちであいつの事を好きなわけじゃないんだ。あいつの心が手に入るなら、姑息と言われようが、卑怯と言われようが構わない。

 誰に憎まれようが、妬まれようが構わない。

 そんな覚悟はとっくにできてる。

 だけど。

 この後味の悪さは何だ。
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