純愛バトラー
「部活動の予算案? 昨年度の各クラブ活動の実績と、部費の使用用途をまとめておきました。
 昨年度の予算案を参考に、実績を考慮した形で決めるのが良いというのが、僕の意見です。
 年間スケジュールは、既に昨年度のスケジューリングの反省点をまとめてあるので、それを見て決めるのがいいのではないでしょうか。
 作成した資料はこれです」

 長船はてきぱきと鞄から自作の資料を取り出し、オレに手渡した。

「おう、いつも悪いな」

「いえ、暇だったので」

 素っ気無く答えて、長船は黒ぶちメガネの位置を直した。
 地味で目立たない生徒と思われがちだが、裏方の仕事を任せたら、こいつほど有能な人間はいないと思う。

 長船が予め作成してくれた資料のおかげで、会議は三十分ほどで終わった。
 変更すべき点が簡潔にまとめられており、なおかつ変更した際に生じるメリットとデメリットの考察までついていたのだから、会議ではそれを吟味するだけだったのだ。
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