純愛バトラー
「でも、住み込みなんでしょ? 今は違っても、そのうち恋の花が咲いちゃうかもっ☆」

 小雪がにまにましながらはやしたてる。
 女って、どうしてこう恋愛の話題が好きなんだろう。

「戦国姫と俺様執事の間に咲く恋の花~♪ 胸キュン☆ の予感だねっ!」

「小雪殿は一体何を言っているのだ?
 むねきゅん……? 意味が解らぬが、新しい造語か?」

 盛り上がる小雪をよそに、絵理は眉間にしわを寄せて考え込んでいる。
 戦国姫とか俺様執事とか、酷い言われようだと思うんだが、その辺はスルーなのか。

「戦国姫と俺様執事……。酷い言われようですね……。否定はしませんけど」

 代わりにその部分に突っ込んだのは青司だった。お前も一言余計だ。

 長船は黙々と文庫本を読んでいる。歩きながら本を読むのは、こいつの特技らしい。
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