純愛バトラー
 保健室で傷テープを貰い、それを傷口に巻いて教室に向かった。
 たいした傷じゃないはずなのに、指先が熱を持ってじんじんと痛む。

 利き手を怪我しなかったのは不幸中の幸いだな。

 手紙はいずれもプリントアウトされたもので、筆跡はわからない。
 さすがに刃物の入った手紙は今日が初めてだったが、嫌がらせの手紙はここ数日毎日入っているようだった。

 当の絵理はというと、「一体何がしたいのか、さっぱりわからぬ」と、困惑こそすれ落ち込んでいる様子は全く無い。
 そんな絵理の様子も、嫌がらせをしている相手にとっては気に入らないのだろう。
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