純愛バトラー
 教室に入り、席に着く。
 オレの隣は千沙子の席だが、あれ以来全く言葉を交わしていない。

 千沙子の方から話しかけてくる事は無かったし、オレから特に話す事もない。
 別れた恋人同士というのはこんなものだろう。
 後は時間が傷を癒してくれるのを待つだけだ。

 千沙子と別れた事は、次の日には既に周知の事実となっていた。
 ここ数日の間に何人かの女子から交際を申し込まれたが、面倒なので全て断った。
 どうせ付き合うなら、絵理と付き合ったほうが何かと都合がいい。

 どうせ誰と付き合ってもやる事は同じ。
 休日は一緒に出かけて、他愛も無いメールを送りあって、時には甘い言葉を囁き合う。
 面倒になる時も多々あるが、それなりに楽しい。

 オレにとって、恋愛なんてそんなものだ。
< 61 / 401 >

この作品をシェア

pagetop