純愛バトラー
 自分の立ち位置と、相手方の配置を見て、逃走経路をシュミレートする。
 人の多いグラウンドに出るには、目の前にいる三人をすり抜けて行かねばならない。
 後ろに逃げる事もできるが、学園の裏手側に出る道であり、その先は人が滅多に通らない袋小路になっていた。

 そこへ逃げ込むのは危険すぎる。

 下はコンクリートで、投石や砂での目くらましは行えない。
 一抹の望みを賭け、正面突破する以外に方法はなさそうだ。

 一番端の男の脇をすり抜けようとしたが、腕を掴まれて失敗に終わった。

「逃げようったってそうはいかねぇよ」
「大人しくしてれば、痛い思いはさせないって」

 男たちは勝利を確信し、獲物を狩る目で私のことを見ている。
 一人が強引に私に上を向かせ、顔を近づけてきた。
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