純愛バトラー
 狙い通り!

 私は思い切り、頭を男の鼻の下に打ち付けた。
 不意打ちを食らった男は顔を押さえてうずくまる。

「こいつ!」

 掴みかかってきたもう一人の男の股座に膝蹴りをお見舞いし、手の力が緩んだ隙にそれを振り払い、一目散にグラウンドの方向へ駆け出した。

 人目のつくところまで逃げ切れば、後はどうにかなる。


 その時だった。


 腰に思わぬ負荷がかかり、布が破れる音がして、私はコンクリートの地面に転倒した。

 くそ、スカートを掴まれていたか……。

 地面に引きずり倒された私は、強引に仰向けにさせられ、上着を引き裂かれた。
 さっき頭突きをした男が、私に馬乗りになっている。

 ……万事休すだな。
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