純愛バトラー
「とにかく、理由は言えない。知らない方がいい事もあるんだよ」

「何その言い方。
 ……ふぅん。さては、母にでも誘惑されたの?」

 いきなり核心を付かれて、オレは面食らった。

「お前、何で知って…! いや違う。今のなし」

「図星、ね。隠さなくてもいいわ。母が昔からそういう事繰り返してたのは知ってるもの」

 待て。今何て言った。

「知ってたのか?」

「ええ。何年一緒に暮らしてると思ってるの?
 母は常に誰かが側にいて、自分を見ていてもらわないと耐えられない弱い人。
 ……恋愛中毒なのね。
 父はあの通り家を空けてばかりだし、必然的に異性の使用人に、その役割を求めることが多かったの」

「そうだったのか……」

 もうそれしか言えん。
 知ってたんですかそうですか。
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