世界は変わる ー俺様の愛した男ー【BL】
――――――――――……………
教室でも、奴の騒がれ様は凄まじいものだった。
奴が教室に入るやいなや、目を輝かせる女子達。
……例えるなら、まさにハイエナ。
「……愚かしい」
俺がボソリと呟くと、
「なーに苛ついてんのよ」
陽気な声が聞こえて、ふいに肩を叩かれた。
「――――――麻耶子」
俺の視界に入ってきたのは、芹沢麻耶子(セリザワ マヤコ)。
クラスメートであり、俺の……
許嫁。
「苛ついてなんかねぇ。
俺に話しかけるな」
肩に置かれた手を振り払うと、麻耶子は口を尖らせた。
「どー見ても苛ついてるじゃない。
そんな怖い顔してちゃ、取り巻きの女の子達、みーんな彼に取られちゃうよ?」
小声で囁いた麻耶子の視線の先には、ハイエナ共に囲まれている黒沢の姿。
「そんなこと、俺には関係ねぇよ。
女なんて、いくらでもいるだろ」
麻耶子に言っているのか、自分に言い聞かせているのか。
いつの間にか、わからなくなっていた。
.