世界は変わる ー俺様の愛した男ー【BL】
にしても、よりによって何故こんな時期に転校する必要がある?
今は、4月中旬。
新学期が始まって、一週間ほどしか経っていない。
考えられるのは………
「家庭の事情、ですか?」
そう尋ねると、校長は頷くでも否定するでもなく……
すごく悲しそうな顔で、笑った。
「家庭の、ではないが……
特別な事情があるようだ」
………特別な事情。
それが何であるのかは、俺が知る権利も、義務もない。
知ったところで、どうにかなるわけでもない。
俺に必要なのは、転入生が来る、という情報だけだ。
「しかし…他の学校から来た奴が、我が校の授業についてこれるとは思えないのですが」
当然ながら、エリート校である我が校は、授業のレベルも進度も、他とは比べものにならない。
転入してくる奴が、後れをとるのは目に見えて明らかだ。
それどころが、他の奴の足を引っ張ることだって有り得る。
やはり、転入生など最初から受け入れない方が賢明なのでは……。
「なに、心配は無用だ」
そう言った校長の表情は、いつもの穏やかなものに戻っていた。
そして。
次の瞬間、俺は自分の耳を疑うことになる。
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