恋*クル
それなのに――……
悦子は唇をキュッと結んだまま、首を縦にも横にも振らない。
ただ、俯いているだけだった。
「……悦子?」
「………」
「何か言えよ……」
決して悦子を責めたりせず、静かな口調で語りかけると、悦子の大きな瞳から涙がぽろぽろとあふれ出した。
「武人は、どうして隠すの?」
「……は?」
「他の女の子から告白されていること。先生に呼び出された、とか嘘ついて……」
「それは……」