恋*クル
バスに乗っているあいだ、あたしと彼はそれきり一言も話をしなかった。
そして……
『青陵高校前ー、到着しました……』
学校のすぐ前にあるバス停に到着し、彼が先に、それに続いてあたしが降りる。
バス停から歩いて、ほんの数分後に見えてくる学校の正門。
まだ時間的に早いから、登校してくる生徒の数はまばらだった。
「あ……」
あたしの少し先を歩いていた彼が、思い出したように立ち止まり、こちらを振り返った。
「あのさ、職員室って、どこだっけ?」
「職員室?」
「うん。俺さ、今日から転入してきたんだ」