恋＊クル

「もしも金森くんが、女々しいタイプだったら、案外うまくいっていたかもね」



今の今までマジメな会話をしていたのに。

彼女は笑ってそんなことを言う。



「俺が……女々しいタイプ？　……気持ち悪ぃこと言うなよ」

「そうかなぁ？　そういう性格の男の子って、どんなにカッコよくても、女の子たちは興ざめして誰も近寄ったりしないわよ？　きっと」

「……はいはい。つうかさ、失恋して落ち込んでいる俺にそういうこと言うなよ」



奇想天外なことを真顔で言った彼女に対して、俺はほとほと呆れてしまう。



「元気づけてあげただけよ？　本気にしないでよ？」

「誰がするか！」



悦子の親友だからこそ、俺の扱い方を知っていたのかもしれない。

悦子と別れてから、このとき俺は久しぶりに笑ったような気がした。