恋*クル


いつもはちゃんとしたお弁当箱だったのに。

最後のお弁当は、食べた後に捨てられるように、と、使い捨てのお弁当箱だった。

全部食べ終えたあたしは、空っぽのお弁当箱を教室のゴミ箱に捨てた。



「……今日は、武人くん来ないねぇ……」



お弁当を食べ終え、真千子と雑誌を読んでいると、麗がネイルを塗る手を休めてポツリと呟いた。



「そう言えば……。このお弁当も、朝、渡してきたんだよね?」



真千子もハッとして、思い出したように言う。



「さぁ? 忙しいんじゃない、いろいろと」



雑誌に視線を落としたまま、あたしは他人事のように冷たく言う。


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